スキミング被害で15万円ナリ。その顛末1


 

3月18日の早朝、タイ国際航空TG704便はバンコクに向けて降下を開始した。「スムース・アズ・シルク」とは、タイ航空のキャッチフレーズだ。機内のサービスはまさに絹のようにきめ細やかで優しく、アテンダントの笑顔も爽やかで、バンコクでのこれからの生活に期待を膨らませないわけにはいかなかった。

 

Smooth as Silk

 

イミグレーションでは難なくスタンプをもらい、「コップン・クラップ」とタイ語で礼を言いつつ颯爽と到着ロビーに躍り出た。躍り出た勢いに任せてATMでタイバーツを引き出そうとした。 が、

 

 

 

 

「残高を超えているため引き出せません」

 

 

とATMの画面に表示される。これは何事か、と一瞬思ったがとにもかくにも使えないときにこのメッセージが出るときもある。それにキャッシングの上限を低く設定しているので、うっかり上限額まで到達してしまっているのかもしれない。こんなことで動揺する俺ではないのだ。

 

念のため、金額を少なくしつつ試したが、1万バーツ(約2万7千円)すら引き出せないことがわかった。ちなみに、外国のカードを使ってタイのATMから引き出す場合、一律で150バーツ(約400円)の手数料が ぼったくられる 発生する。つまり15,000バーツくらいは下ろさないと手数料が1%以上も盗(と)られることになり非常に不愉快きわまりないわけだ。

 

そこで俺は、こんな時もあろうかと思って用意しておいた別のカードで現金を引き出した。ことは一件落着に終わった・・・わけではない(こんなブログのタイトルにしておいて、一件落着するはずがない)。

 

インド人経営のゲストハウス

 

カオサンエリアの寺裏にある、行きつけのインド人ゲストハウスで荷ほどきをした。ここはどこの部屋からもWi-Fiが使えていい宿だ。着いて早々、キャッシングの利用可能枠を空けるために繰上返済の電話をすることにした。

 

説明しておくと、俺のメインカードはUCで、キャッシングの上限は低めにしてある。数回キャッシングをした後、スカイプを使って日本へ電話を掛け(めちゃくちゃ安い)てその時点での利息を含めた全額を、これまたネットバンクから振り込んでしまうのだ。俺の銀行では振り込み手数料が掛かってしまうが、それでも利息を考えたら安い。電話代も無に等しい。手数料の掛からない銀行に口座を作れば最小の手数料で現地通貨が手に入る、最高の方法なのだ。

 

バンコクはATMだらけ

 

日本時間の午後2:50だったこともあり、履歴も何も調べずに、いきなり電話してキャッシングの利用額を聞き、その金額を速効で振り込んでしまった。3時を過ぎると先方の振り込み確認が遅れ、結果としてキャッシング枠が空くのも遅れてしまうのではないかと焦ったからだ。しかし、今思えばそんなに急ぐこともなかったのだが。

 

 

 

翌々日・・・

 

 

サブカードで下ろした金が底をつきそうだったので、出かける前にメインカードでキャッシングをすることにした。サブカードの方は手数料がもともと高いので、少額の引き下ろしに留めておいたのだ。それがサブたる所以でもある。   ところが・・・

 

 

 

 

「残高を超えているため引き出せません」

 

っつ・・・・

おかしいね?

これはおかしいね?

5件ほどATMを試したのに、どこも結果は同じ。

 

 

 

ザンダカヲコエテイルタメヒキダセマセン

 

嫌な予感が脳裏をよぎった。というのも、つい先日、フェイスブック上で友達がスキミング被害に遭って40万円も引き出されていたという話を目にしたのである。彼女(ここではM子としよう)とうちらは、同じ時期にグアテマラのアンティグアに滞在していた。ちなみに彼女の名誉のために言っておくと、彼女にMっ気はない。それに、M子以外にも同時期にグアテマラ・アンティグアにいた人たちがスキミングの被害に遭っているというのだ。M子いわく、「補償がきくはずだがどうなるかわからない」ということで、ひどく落ち込んでいる様子だった。

 

 

やばい、まずい、あせるな、いや、何かの間違いだ

 

しかしこんなことで焦る俺ではない、ゆっくりと深呼吸をしてから宿に向かって一心不乱に走り、UCカードのサイト(「アットユーネット」と言う)にログインした。まずは最近のカード利用状況を確認する。

 

この画面には、最近の利用状況が、ショッピングなのか、キャッシングなのか、いつ、何という店・ATMで、どこの国の通貨で取引が為されたのかが確認できる、すぐれものなのだ。   くるくるっと画面をスクロールしてみて、最初に目についたのは・・・

 

 

 

DOPという通貨

 

 

ディー・オー・ピー?はて、こんな国にはお邪魔していないぞ。この時期にはチリとアルゼンチンの2か国以外に足を踏み入れたことは無い。 両国の通貨はARPとCLPだ。DOPと書かれたデータは5件あり、総額で5万ほどだった。店名・ATMの覧に記載された銀行名らしき部分はどれも同じだった。その店名部分をコピペして、グーグル先生に聞いてみた。

 

 

ドミニカ共和国にある、バンコ・デ・ナンチャラという銀行らしい。

 

 

 

ドミニカ(笑)

 

 

行ってねーし・・・

 

グーグル先生の間違いかと思って、DOPという3レターがどこの通貨なのかを調べてみた。

そしたら、

 

 

やっぱりドミニカ(笑)

 

 

 

だから行ってねーよ。

ドミニカペソなんて使ってねーよ。

 

行ってない上に5万円分くらいは引き出されている。ドミニカは野球だけじゃなくスキミングにも強いのか。ん?スキミング?

 

そうだ、これはスキミングだ。間違いなくスキミングだ。俺って被害者じゃねぇか。

 

気がついてからの行動は早かった。スカイプに事前登録しておいたUCカードの紛失・盗難デスクにコンマ2秒後には電話を掛けていた。

(つづく)

りょう の紹介

東京都品川区で生まれ育つ。サービス業、ホステスクラブ、海外ボランティア駐在員、レストランバー、コンピュータ会社などを経て独立開業。2011年から休業し、夫婦で1年ちょっとの世界一周へ。現在は帰国してイクメン父上に勤しむ。好きな食べ物はナス。言語や歴史に興味あり。コンプレックスは字が汚いこと。好きな言葉は「とりあえずビール」でポッドキャストでは世界のビールを飲み歩く「Beer the World(ビーアー・ザ・ワールド)」を担当。
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