このブログエントリはちょいとマニアックです。カンボジア語について書いていますので興味のない人は読み飛ばしてください。
カンボジアに来るのは7年ぶり。久しぶりに来ても基本的な単語は口をついて出たし、簡単な会話なら普通の早さで話されても、キーとなる単語を拾うことは出来た。
が。しばらく住んでいたわりに「こんな程度しか話せなかったのか」とプチショックを感じている。原因を考えてみたら、あぁそうか。俺はカンボジアの読み書きがほとんど出来ないからだと気がついた。カンボジア語の語彙は文字として頭に入っているのではなく、音声として頭に入っていた。長い間使わなかった場合には、文字を知っている場合と知らない場合で忘れ方にかなり差があるのではないかと、そんな気がした。
そこで、次にカンボジアに来るときのために今回はしっかり文字を覚えてやろうではないかッ!と強く意気込んだわけである。
ちなみに、クメール語(カンボジア語)の文字はミミズが這ったようなうねうねとした奴で、子音が実質33文字、母音が23文字もある。日本の五十音(しかも平仮名&片仮名)を考えればたいしたことないし、当然ながらクメール語には漢字がないので簡単なはず、はずなのである。
さらに中国語や東南アジア語に見られる「孤立語」なので、過去も未来も動詞は一緒。日本語・韓国語のような助動詞の動きもない。時制という考え方もあってないようなもの。主語によって動詞の形が変わるなんてありえない。to 不定詞もなければ冠詞だってないのだ。すべては単語を順番通りに並べるだけ。さらにタイ、中国、ベトナムのような声調もない!パーフェクトにシンプルな言語だ!
そして書き言葉では、「(ほぼ)書いたとおりに読む」いわゆるフォネティックな文字なので覚えてしまえばどんどん読めるようになる。英単語や日本語の熟語のようにそれぞれの読み方を覚えなければいけない言語と比べれば(まぁある程度法則もあるけど)圧倒的に簡単なはずである。はずなのである。
そんな中で、クメール文字の学習を妨げているものがある。それは発音だ!クメール語は有気音と無気音の区別が厳しくて日本語話者や英語話者にはかなり難しい。それでも修行の甲斐あって有気音と無気音は聞き分けも話分けもできているはずだ。
そしてもうひとつ、カンボジア人にクメール語を習うと、「カンボジア人の子どもがならうように教えてくれる」のである。実はこれがネックだった。
カンボジア語の子音は2つのグループに分けられる。仮に1グループと2グループと呼ぶことにすると、同じ「K」の子音文字でも1グループに属する「K1」と2グループに属する「K2」という異なる子音文字が存在する。K1とK2は同じ子音の音なのだが、子音を単独で発音するときに付ける母音が異なる。無理矢理カタカナで表すならK1を単独で発音するのが「コァー」だとするならK2を単独で読むと「コォー」という感じになる(コが無気音だという点は無視)。さらにK1にAという母音を足すと「Kaa」となるのに対してK2に同じAという母音を足すと「Kia」と読む、という変化が起きるのだ。
このK1とK2をカンボジア人は「異なる子音」と呼んでいる。いや、正しい。たしかに異なる子音文字なのだが、「単独で読んだ場合の母音部分が異なり、(ほとんどの)母音文字を続けた場合に母音の読み方が異なる」というのが正確な違いで、「子音自体の音」が違うわけではないのだ。
俺はこれを8年くらい勘違いしていた。
今回カンボジアに来て、「Cambodian for beginners」という外国人向けクメール語教本を購入したことで気がついた。ここ8年ほど、K1とK2という子音文字の子音の音自体が違うものだと思い込んでいた。実際、どのカンボジア人に聞いても「子音の音自体が違う!」とかたくなに言い張るのである!
いやはやどうりでおかしいわけだ。1言語の中でそんなに微妙な音をたくさん区別できるわけがないと思う。俺は長いことこの(同じ音を持つ)2グループの音の違いを聞き分けようとしていたわけで、そりゃ文字学習なんて投げ出すわ。
読み書きが出来なくても普通に会話が通じてしまえば文字なんて面倒になってしまう。でも今回は違うぞ。発音のメカニズムがわかったおいらはきっと強い子。品川のお母ちゃん見ていてくれ。オラはきっとクメール文字を読み書きできるようになるぜ。
クメール語を覚えようとするなんてすごいですね。
うちら夫婦はカンボジアの滞在で「ありがとう」くらいしか
覚えませんでした。現地の言葉を使って旅ができたら
楽しさも倍になると思うんですけどね・・・なかなか。
自分も大好きな言葉は『とりあえずビール』です(=⌒▽⌒=)
こんにちは!コメントありがとうございます。
もうタイに戻ってしまったんですね。世界一周航空券やLCCを使ったなかなか賢いルートで回るようですね。
私は随分前にカンボジアに住んでいたので「再」チャレンジ、という感じです。その時は読み書きの勉強を諦めてしまったので。
やはり言葉が出来る国は気が楽ですが、あまり調子に乗らないように安全な旅を心がけます。
こちらはルートがまったく未定なのですが、どこかで会えるといいですね。
ブログもチェックさせてもらいます。