キューバ20日目(家族でお正月)


さて、今日はなんと大晦日である。

どうやって過ごそうか考えていると、パピートが今夜のフィエスタ(パーティ)に招待してくれるという。

「食事も全て出すので心配しないでくれ、ゲストとして招待したい」ということだった。ぬあんと、思いがけずキューバ人ファミリーの大晦日に参加することができるのだ。

キューバ価格の妙

招待されたといっても、何か手土産でも持って行かなければと思い、売店でビールを1ケース買うことにした。この時期、至る所でビールをケース買いするキューバ人がいるのだ。大晦日用だろう。キューバは地域にもよるが、クリスマスより新年の方を盛大に祝うように思う。元旦は革命宣言をした記念日でもあるのだ。

で、このビールケースなのだが、ビールを1本バラ買いすると1CUCする。じゃあ24本ケースを買うと・・・24CUCである。これには笑った!普通、まとめ買いすれば安くなるのが常識ではないかと思う。いや、それは単に資本主義者の考えなのか。ここキューバでは1本バラで買っても24本ケースで買っても1本あたり1CUCという値段は変わらないのだ。奇妙奇天烈。

ドミノ

ドミノと言えば、ドミノ倒し。俺が知らなかっただけだが、ドミノには普通のテーブルゲームとしての遊び方があったのだ。夕方前になって、パピートの両親が住む一階から声が掛かった。「ドミノをやろう」と。このゲーム、サンティアゴの公園で大人たちが群がっていたので見たことはあったが、まさかこれがドミノだったとは知らなかった。テーブルを4人で囲み、向かい合った2人がチームを組んで手札を早くなくした方が勝ち、というのが基本的なルールである。

ドミノ

パピートのお父さん(自称プロフェソール・デ・ドミノ(ドミノ先生))が一から手ほどきをしてくれた。ゲームをしているとおばさんがラムを持ってきてくれる。チビチビ飲みながらドミノのルールを覚える。これ、お金を賭けているのかと思ったら賭けていないらしい。御年80歳くらいのおじいさんと40〜50代のおじさまがたが、ラムをちびちびやりながら金を掛けずにドミノに興じる姿はとても平和に見えた。

ダンスゲーム

ここでパピート、みんなでゲームをしようと言い出す。思春期とおぼしきお嬢様たち数人は遠慮して参加しなかったが、おじさんおばさん方はほぼ全員参加。椅子取りゲームのような面白いゲームだった。

ルール

ゲームには男性と女性が必要になる。ただし、男性の人数は女性の人数より1人だけ多くなくてはいけない。男女がペアになって輪を作り、そこを踊りながら回るというのが基本パターン。1人だけ男性が余るが、この人は交通整理の係を担当する。そしてなぜかほうきを持つ。中央の男性は、ほうきを掃くフリをしながら信号の色を叫ぶ。

「ロホ(赤)」と叫ぶと、周りで踊っている男女ペアは制止しなければならない。
「ベルデ(緑)」と叫ぶと、周りで踊っている男女ペアは再び踊り出さなければならない。
「アマリージョ(黄色)」と叫ぶと、男女のペアを解消して、男は別の女性を探しに走る。同時に、交通整理役の人も相手を探して走る。

結果、男性一人がパートナーを見つけられないことになる。この人が次の交通整理をやるのだ。単純だがやってみるとおもしろい。交通整理係を3回やるといわゆる×ゲームをするのだ。俺は勢い余ってパピートのおじいさんに飛びついたり、気がつくとなぜかほうきに飛びついていたりした。

メインディッシュ登場

フィエスタのメインディッシュと言えば、豚の丸焼き!
オレンジを加えた豚が、こんがりと焼かれた姿で登場したのだ。なんと哀れな姿、ではなく美味しそうな姿になって・・・。
赤飯のようなごはんとサラダが付いて、とても美味しい。おそらく味付けは塩と香草のみ、じりじり焼いたのかとてもやわらかくてうまかった。

いよいよカウントダウン

皆、少しずつ慌ただしくなってきた。しきりに時間を聞いている。どうやらもうすぐ深夜0時だ。皆がテレビの前に向かう。テレビではいわゆる「行く年来る年」的な、いやそれよりももっと派手で陽気な番組がやっている。しばらくすると、花火や大砲を打ち上げる画面に切り替わった。あぁ、2012年になったのだ。

ハバナにある世界遺産、カバーニャ要塞では大砲を数発撃ち、花火が上がり、Feliz Año Nuevoの文字がでる。家族は皆、抱き合ってほほにキスをする。テレビ画面には、学校、病院、カストロなど、キューバのシンボル(?)が次々と映し出されて、革命54周年を祝う番組が始まった。

革命54周年か。よくぞ革命をしたとも思うし、よくぞこの体制を維持しているとも思う。ある意味では人間の想像力や自然な欲望を抑圧し、枠にはめ込み、規格外の人間を規制し、窮屈な仕組みにも思えるキューバだが、一方で人々は陽気で、仕事で悩む人もおそらくゼロに近く、引っ越しは難しいが家のローンはなく、十分ではないが配給制度があり、まったくもって不十分だが給料があり、学費や医療費はない。キューバ人は枠の中で楽しむ術を身につけている、身につけさせられている、身につけざるを得なかったのか。

キューバに来ると、幸せとはなんだろうかと思ってしまう。

この国ではきっと、テクノロジーのイノベーションなんて起こらないだろう。少ない部品でチャリンコを修理するテクニックとか、仕事場からばれない程度に何かをくすねて横流しするとか、そういうテクニックは磨かれるのだろうけど。

そんな感慨にふけっていると、家族がはしゃいで玄関に殺到する。何が起きるのかと思ってみていると、どうやら新年を祝うために外に水をまくのだという。どういう意味があるのか分からないが、これがキューバ式の新年らしい。水は通りにまくだけでなく、人にもかけて良いらしい。パピートも容赦なく水を掛けられていた。玄関前で記念撮影をするからと人を集めては、2階のバルコニーから水をかけるといった、子供のようなはしゃぎようを見せてくれた。

いい一年がはじまりそうな気がした。

りょう の紹介

東京都品川区で生まれ育つ。サービス業、ホステスクラブ、海外ボランティア駐在員、レストランバー、コンピュータ会社などを経て独立開業。2011年から休業し、夫婦で1年ちょっとの世界一周へ。現在は帰国してイクメン父上に勤しむ。好きな食べ物はナス。言語や歴史に興味あり。コンプレックスは字が汚いこと。好きな言葉は「とりあえずビール」でポッドキャストでは世界のビールを飲み歩く「Beer the World(ビーアー・ザ・ワールド)」を担当。
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