そうだ、ウユニ出よう
結局、星空を見られないままウユニに2週間も滞在することになった。停電が数日続き、ネットもつながらないという状態がい続いていたし、そろそろどこかへ行かなければと言う話になっていた。
交通についていろいろ情報を仕入れたが、電車は運休、サルタ行きもだめ、カラマ行きもなし。ラパス行きがかろうじてあったが、その後一体どうしようというのかよくわからなかった。
唯一望みがありそうなのは1泊2日でジープに乗ってボリビア南部の国立公園を横切ってアタカマに抜ける方法だ。2泊3日であちこちを回りながらアタカマに抜けるツアーがあるが、あれの観光部分をごそっと抜いたコースがこれ。値段も3分の1、4分の1くらいになる。ウユニ塩湖の鏡張りで満足しきっていたうちらはそれ以外の見所(それはそれで楽しそうだったが)をすべてスルーすることにした。
運転手エドガル・エル・チーノ
出発は午後6時。3人のブラジル人とうちら2人。合計5人でジープに乗り込んだ。ドライバーの名はエドガル、通称チーノだ。たぶん目が細いから中国人の愛称をつけられたんだろう。この人が働き者でとてもいい人。あちこちに知り合いがいるらしく、出発前も、運転していてときおり出会うほかのドライバーにも、とにかく「チーノチーノ」と声をかけられていた。かなりの人気者らしい。
走り出して数分、道はすぐにオフロード。どこから流れてくるのか雨のためにあちこちに小川・中川が道路を分断し、そのたびにエドガルは注意深くハンドルを切りながら川を渡ってくれる。
彼の運転技術は相当なものだった。常に考えながら道を選び、衝撃がなるべく少なくなるような道を選んでくれていた。外の陽が次第に落ちて、真っ暗になってもオフロードを飛ばし続けた。ライトの明かりを頼りに時に道を外れながらも黙々と進んだ。聞けば、彼は毎日この道を走っているのだとか。
意外にきれいな宿
9時くらいにようやくその日の宿に到着。思っていたよりもまともそうな所でほっとした。部屋にはベッドが3つ。夕食も野菜スープ、卵焼き、白ご飯がでた。この食事は地味にうまかった。シャワーもホットがでるらしかったが、疲れてあびることはなかった。トイレは用を足した後に自分で水をくんで流さなければならなかった。
食堂から2泊3日ツアーの人たちとおぼしきグループが盛り上がる声が聞こえたが、うちらはすやすやと眠りについた。翌日の出発は朝の5時だ。
早朝からオフロード
タイマーをセットしたのでなんとか目覚めることができた。4時に目覚めて4時半に支度を開始、なんとか5時には車に乗り込んだ。が、ブラジル娘は寝坊をしたようで呑気に髪をとかしていた。おおらかだな。
まだ陽の明けぬうち、暗い中をジープは走った。相変わらずの悪路だったがエドガルはすいすいとハンドルを切って進んだ。陽が昇りだし、周囲が明るくなる。朝早かったこともあって揺れの激しい車内で泥のように寝こけてしまう。
途中、フラミンゴの群れが大きな川の畔にいた。裸眼でよく見えなかったがとんでもない数がいたように思う。そんなフラミンゴを横目にジープは飛ばし、イミグレ前の休憩所に到着した。
休憩所では朝ご飯を出してくれた。夕飯しかつかないと聞いていたのでかなり嬉しかった。ホットコーヒーとパン、チーズやバターを出してくれた。用意をしてくれるのもエドガルだ。食事とトイレを済ましてようやくイミグレに到着する。
山小屋のようなイミグレ
イミグレは超簡素。イミグレの看板がなければただの小屋にしか見えない。ここで出国のスタンプをもらう。この国境ではスタンプがもらえないので事前にウユニ村でスタンプを押してもらった方が良いという噂があったが、普通に押してもらえた。さらに無料だった(ツアー台に含まれているという話も聞いた)。聞いていた話だと、ここの国境でスタンプを押してもらう場合は20B、ウユニのイミグレ(アベニーダの隣あたり)だと15Bということだった。
スタンプをもらってバスを乗り換える。このバス代も料金に含まれている。チーノとはここでお別れだ。チップを渡すと笑顔で喜んでくれた。
チリ入国・フラットな道路
まだチリ入国のスタンプはもらっていないが乗り換えた車は発進した。どこかすぐにイミグレがあるのだろうと思っていたが、車はどんどん進んでいく。チリに入国したのだろう道がとたんにフラットになっていた。走ることしばらく、サン・ペドロ・デ・アタカマの町に入った。町外れにイミグレがありここで入国スタンプを押してもらうようだ。いわゆる国「境」にイミグレがあるわけではなさそうだ。このイミグレで2時間くらい待たされた。怠けているわけではなさそうだが、係官が少なすぎる。というか入国者が多すぎるのか。あらかじめ本を持って待っていれば良かったと後悔。
その後、形ばかりの荷物チェックを経てようやくチリへの入国が完了する。さて、気合いを入れて進むとするか。
入出国の状況が参考になりました。
間もなく、同じ道を通る予定です。