MBKへ行こう前編:バンコクで無賃乗車しちゃいました


さて、今日はMBK(マーブンクロン)ショッピングセンターに行く日だ。MBKはバンコクの中でも巨大なショッピングセンターで、とりわけ携帯電話や電化製品周りに非常に強いことで有名だ。

目的は、カメラのレンズを修理すること。去年の8月にカンボジアでレンズを落として以来、壊れたまま北米、中米、南米、そしてちょっとだけ南アフリカを経由して見事に世界一周させてしまったレンズだ。

壊れたレンズが世界一周!」と口ずさんでみるも、特別な感慨があるわけでもないことに気がついた。あぁ、バカだな俺。

このレンズは文字通り「お荷物」でしかなかった。何の役にも立たないレンズとともに過ごす7か月は苦痛以外の何物でもなかった。300gにも満たないレンズだったが、そのウェイト以上に精神的な重さ感じていた。いい加減、ちょっと高くても修理しようと固く決意したわけである。

前置きが長くなったが、カオサンエリアからはラチャダムヌン通りでバスを拾う。この通りでなくても拾えるところは多いが、カオサンから一本向こうの大通りと言うことで一番分かりやすい。

乗ったバスは15番。スタンダードな安いバスだ。ほかにも47番79番がMBKへ行くと思われる。バスに乗って席につく。車内は古く、簡素で、エアコンが効いていないので全ての窓は全開だ。

 

相変わらずホットなバンコクの昼下がり、排気ガスにまみれた爽やかでもない風を浴びて、思わず開いた窓の所に肘をかけてみた。

 

 

熱っ!

 

熱すぎる。鉄板焼きにされるかと思うほどバスの表面はホットになっていた。スペイン語で言うなら「a la plancha(アラプランチャ)」だな、と心の中でつぶやきつつ、いい加減スペイン語脳から脱出せねばと同時に思う。

 

 

しかしまてよ

 

いつもなら、乗務員のおばちゃんがブリキ製の筒をパカパカと意味もなく開閉しながら切符を売りに来るはずなのだが・・・なぜか今日は来ない。きっと、乗車する人が多いこの付近ではすぐに券売せずに落ち着いたところでやってくるのだろう。なにしろあのおばちゃんたちは、いつどこで誰がバスに乗ってきたのか一目で覚えてしまうプロ集団だもの

しかし待てども暮らせども(暮らしてない)切符売りのおばちゃんが来ない。ひょっとしたら運転手にお金を渡すタイプのバスだったかも、と思いホットに熱せられた窓枠から頭を出して、もう一度バスの色を確認する。バスの車体は赤かった。赤いバスはエアコンなしでおばちゃんにお金を払うタイプだったと思うのだが、俺の勘違いか制度が変わったのか、とりあえずこのままでは無賃乗車で大変なことになるのではないかと不安になってきた。

だいぶ昔、ラトビアかどこかで切符を買わずにバスに乗車し、途中で検札(切符のチェック)に遭遇してしこたま罰金を払わされた(いや、俺が悪い)という甘酸っぱい思い出がある。30歳を越えてそんな甘酸っぱい経験はごめん被りたいわけで

他の乗客は一体どうしているのだろう。ひょっとしたら、俺の目を盗んで運転手にお金を渡してきているのではなかろうか。乗客全員に目を光らせて俺より後に乗ってきて俺より先に降りる人はいないか観察してみた。

す・る・と

数人のタイ人が、そそくさと乗車して、しれっとした顔で下車していくのを目撃した。もちろん金は払っていない。プリペイド式のカード?いやいや、そんなしゃれたものがバンコクのバスにあるはずがない。バンコクなめんな。これは無賃乗車だ、いわゆるひとつの集団無賃乗車だッ。

車内をもう一度確かめたが、乗務員はいなかった。そうか、乗務員はいないのか。乗務員は風邪を引いて休んだか、途中でトイレに行ったか、ガスの元栓占めたかどうか不安になって一時帰宅したかのいずれかだ。間違いない。

だとすると、運賃を運転手に渡して降りるべきなのだろうか。しかし運賃が6バーツなのか7バーツなのかいまひとつわからない。誰も支払っていないのに俺だけ支払って運転手は理解できるのだろうか。

そうこうするうちに、今走っている道路の上に高速道路が見え始めた。あぁ、この角を曲がればすぐにMBKについてしまう。バスを降りる乗客も増えてきた。こいつらは全員無賃乗車だ

ええい、と意を決して俺もバスを飛び降りた。たった6〜7バーツ(20円前後)だが、チト後ろめたかった。

そんな後ろめたさも、MBKのすばらしい品揃えを見ている内に完全に忘れてしまうわけだが、それはまた別の話。

つづく

りょう の紹介

東京都品川区で生まれ育つ。サービス業、ホステスクラブ、海外ボランティア駐在員、レストランバー、コンピュータ会社などを経て独立開業。2011年から休業し、夫婦で1年ちょっとの世界一周へ。現在は帰国してイクメン父上に勤しむ。好きな食べ物はナス。言語や歴史に興味あり。コンプレックスは字が汚いこと。好きな言葉は「とりあえずビール」でポッドキャストでは世界のビールを飲み歩く「Beer the World(ビーアー・ザ・ワールド)」を担当。
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MBKへ行こう前編:バンコクで無賃乗車しちゃいました への4件のフィードバック

  1. めんたいこ のコメント:

    乗務員のおばちゃんがおらんのは珍しいと思う。
    ブリキ筒制度が撤廃されたとしかいいようがない。

    • りょう のコメント:

      めんたいこさん
      おばちゃんはどこを見回してもいなかったけど、乗ってきた乗客も別段不思議そうではかった。運賃無料デーか何かかと思ったけど、帰りのバスは普通にブリキの筒でチケットを買わされたよ。きっとレアケースだったんだと思う。

      • めんたいこ のコメント:

        そういえば・・
        バスに乗り込んで小銭がないことに気づき、
        ブリキおばちゃんに1000バーツ札だしたら、
        「もう払わんでよかっ!」ってな感じで
        無賃したレア経験あり。
        (当然タイ語しゃべれない風を装ってたけどね)

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