100円で考えるプロ論(カンボジアの美容室にて)


こんにちは。
コーンスープのクルトンをふやかしてから食べるミルキクタベルの旦那です。


旅ももうすぐ1年目。8か月ぶりに髪を切ることにしたのでその様子をレポーツする。

アジアにきてからというものかなり気になっていたのが後ろ髪。
グアテマラではカリンカリンに刈り上げてすっきりしていたのに・・・・

ほれ

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きたなーい

これはひどい。後ろ髪だけで体感温度が3℃くらい上昇してもおかしくないってくらいもっさりモサモサ、サモサ食べたい。一時は小鳥たちの憩いの場になっていた(嘘)。

さっそく街に繰り出してみる。

すると発見カリスマ美容師(死語)がいそうなオサレ美容室を発見。

中にはいると・・・

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オサレ!

「ノーノー!」

まさかの入店拒否

入り口にはイケメン男性の写真がでかでかと3つ掲げられているし、切ってもらえると思ったんだけど・・・

気を取り直して別の店へ。二軒目を見つけるが、かなりさびれていたのでパス。その隣に理美容道具を売る道具屋を発見する。

えぇーい、こうなれば自分で切ってしまおうか?

ここで売っていたすきバサミが2.5ドル。ミニバサミが2ドルだった。安すぎる・・・。試しにすきバサミで襟足の髪を切ってみると・・・

ぜーんぜん切れないじゃないか!

ハサミを開閉させるとグワッシャグワッシャ音がする。ミニバサミはシュコシュコとスムーズに開閉できたが、これ一本では難しい。この近辺の店は、2ドル3ドルのハサミで商売をしているんだろうか。

結局、探して探して、3軒目をみつける

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よさげではないか

入ると、女三人がソファに座って暇そうにしている。

俺:「髪切ってくれる?」
女:「オーケー」

かなり軽いノリがむしろ俺を不安にさせる。

心配なので、そこにいた女の子をモデルにして、ハサミとダッカール(髪を留めるやつ)を使ってどういう風に切って欲しいかをデモしてみた。言葉で説明するより実演した方がわかりやすいだろう。そしたら・・・

女:「イエスイエス!オーケーオーケー!」

ろくに見てないっていう・・・

それに、暇そうにしている割にとっとと仕事に取り掛かりたいらしい雰囲気がプンプン漂ってくる(笑)。

値段を聞くと、5000リエルだという。100円相当だ。

写真をとっていたら、女主人に急かされたので席につく

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早く座って

あれ、クロスちっさ!

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わかりづらいけど、あんまり意味ない

小さい上に、なんか羽織ってるだけみたいな感じ。
しかし5000リエル(100円)なので文句は言えない。

彼女は、無造作に髪をブロックに分けたと思うと、ごっそりと毛束を持ち上げて、すきバサミを根元近くからバチバチバチ!っといれてきたではないか!

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襟元から毛が入りまくり

あわわわわ。そんな根元近くに何度もすきバサミをいれたんじゃ、髪がピンコピンコ立ちになってしまう!

思わず口から「あ・・・あああああ」という言葉が漏れた

が、5000リエル(100円)なのだ。

髪の毛束をとって、「根元は軽くでお願いね」と伝えたが、返事は残念ながら「イエスイエス!オーケーオーケー」だった。。。

それから長さも揃えてくれると言って、襟足のところにハサミを真横にしゃしゃしゃしゃしゃっと入れてきた。それでいいのか?スライス(毛束をとること)とかコーム使ったりとかないの?

実際、切り終わったあとに切りそこね毛が結構あったYO


うむむ。もうちょっと丁寧に切ろうと思えば丁寧にもできるんじゃないのかなぁ。

いやもちろん、100円でその要求は「ファミレスのワインでテイスティングさせろ」みたいなことなんだろうというのはわかるよ。でもさ、どう見ても暇そうじゃない?さっき、ヒマヒマでどうしようもないよって感じでソファで戯れてたよね?

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ヒマだわ〜

自分の技術向上も兼ねて、可能な限りのクオリティを出してみよう気はないのかなとふと思ってしまう。

もちろんこれは、日本的なるプロ論で、かなり多くの国でそんなの通じないことはわかっているつもりというか、過去と現在の旅やカンボジア人と一緒に働いていた頃にさんざん思い知らされたことではあるんだけど。

カンボジアでは、日本で言われるような「自分の仕事に誇りを持つ」みたいなやつ、ない人って多い。ダカラと言って仕事が嫌とかいやいややってるとかそういう感じでもない。こういう国はかなり多いと思う。一方で、日本だけがストイックかというとそんなこともないと思っている。ヨーロッパのゲルマン側には職人的なものづくりがあるし、アメリカにも天職的な考えってあるし。

カンボジアでは、やることはやる、やれることしかしない、ほかにいい仕事があったら明日にでも転職イェイというノリな気はする。南国だからかとも思うが、アンコール期の石彫クオリティはワールドクラスだし不思議だわ。

自分の場合、仕事に対して職人的な意味での試行錯誤は心がけているつもりだ。一方で、日常生活における仕事の重要度はだいぶ低い。つまり、仕事は常にベストエフォートで取り組むが、プライベートが犠牲になる状況では話が違うというワケ。そういう場合は、仕事側に妥協をさせがちなタイプだと思う。

そんなわけで、時間もあるのに雑な仕事しかしない人を見るとこれでいいのか(ボンボンバカボンバカボンボン♪)とついつい思ってしまうのである。

皆さんはどう感じるだろうか。


余談

カンボジアでは、髪を切る仕事というのは低資本ですぐできる簡単な商売っぽい。はさみが2ドル3ドル。椅子や鏡はもっと高いだろうけど、1人1ドルちょっとでさばいて行っても初期投資が回収できるまでそう長くないんだろう。路上に椅子と鏡を置いて仕事をするだけの散髪屋もある。極端にいえば、そういう簡易的な店は靴磨きの延長なのかもしれない。

日本だと、理美容室を出店する際には銀行からお金を借りるのが普通だろうし、返済までの道のりは長い。それに出店までは別の店で働いて技術を身につけるのが一般的だ。

いろいろ事情が違うので、単純に比較するものでもないんだが、思っちゃったんだからしょうがない。備忘も兼ねてブログに記しておく次第だ。

りょう の紹介

東京都品川区で生まれ育つ。サービス業、ホステスクラブ、海外ボランティア駐在員、レストランバー、コンピュータ会社などを経て独立開業。2011年から休業し、夫婦で1年ちょっとの世界一周へ。現在は帰国してイクメン父上に勤しむ。好きな食べ物はナス。言語や歴史に興味あり。コンプレックスは字が汚いこと。好きな言葉は「とりあえずビール」でポッドキャストでは世界のビールを飲み歩く「Beer the World(ビーアー・ザ・ワールド)」を担当。
カテゴリー: バッタンバン, カンボジア タグ: , , , パーマリンク

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